ポリプロ physics

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Hermite多項式01 ~一般項とx=0での特殊値~

今回はHermite多項式の公式の証明第1回、偶奇性と  x=0 での特殊値を証明します。

今回証明すること

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今回証明する部分

今回は上の図で赤く示した部分、すなわち母関数から偶奇性および  x=0 での特殊値を示します。
恐らくHermite多項式の証明の中ではこれが一番簡単です。

とりあえず今回の記事に関係する公式をここであらかじめ列挙しておきます。

母関数(定義)\begin{equation}
g(t, x) = e^{-t^2+2xt} = \sum_{n=0}^\infty \frac{t^n}{n!} H_n(x)
\end{equation}すなわち、 e^{-t^2+2xt} t の関数と見て冪展開したとき、現れる項から  \frac{1}{n!} を取り除いたものをHermite多項式  H_n(x) と定義するということです。

偶奇性\begin{equation}
H_n(-x) = (-1)^n H_n(x)
\end{equation}この公式は、Hermite多項式  H_n(x) n が奇数のときに奇関数となり、 n が偶数のときに偶関数となることを表しています。

 x=0 での特殊値\begin{align}
H_{2n} (0) &= (-1)^n \frac{(2n)!}{n!} \\
H_{2n+1} (0) &= 0
\end{align}つまりHermite多項式  H_n(x) の切片は  n が奇数のときは必ず  0 となります。

母関数  \Longrightarrow 偶奇性

母関数(再掲)\begin{equation}
g(t, x) = e^{-t^2+2xt} = \sum_{n=0}^\infty \frac{t^n}{n!} H_n(x)
\end{equation}
偶奇性を証明するためには  g(-t, -x) = g(t, x) が成立することを用います。
このことは母関数の定義式  g(t, x) = e^{-t^2+2xt} から容易に分かります。
したがって  g(t, x) = \sum_{n=0}^\infty \frac{t^n}{n!} H_n(x) から次の等式が成り立つことになります。
\begin{equation}
\sum_{n=0}^\infty \frac{(-t)^n}{n!} H_n(-x) = \sum_{n=0}^\infty \frac{t^n}{n!} H_n(x)
\end{equation}この式は t^n \ (n \geq 0)に対して成り立たなければならないので、係数を比較することで次のように偶奇性を証明することができます。
\begin{equation}
H_n(-x) = (-1)^n H_n(x)
\end{equation}
まとめると、母関数の定義に対して  g(-t, -x) = g(t, x) が成立することを用いてその後  t について比較すると、偶奇性が示されることが分かりました。

母関数 \Longrightarrow x= 0 での特殊値

母関数(再掲)\begin{equation}
g(t, x) = e^{-t^2+2xt} = \sum_{n=0}^\infty \frac{t^n}{n!} H_n(x)
\end{equation}
 x=0 における特殊値を考えるときは、母関数にそのまま  x=0 を代入してやるといいです。
母関数の定義に  x=0 を代入すると、
\begin{equation}
g(t, 0) = e^{-t^2} = \sum_{n=0}^\infty \frac{t^n}{n!} H_n(0)
\end{equation}この式の中辺をTaylor展開すると、
\begin{equation}
e^{-t^2} = \sum_{n=0}^\infty \frac{(-t^2)^n}{n!}
= \sum_{n=0}^\infty (-1)^n \frac{t^{2n}}{n!}
\end{equation}一方、右辺は
\begin{equation}
\sum_{n=0}^\infty \frac{t^n}{n!} H_n(0)
= \sum_{n=0}^\infty \frac{t^{2n}}{(2n)!} H_{2n}(0)
+ \sum_{n=0}^\infty \frac{t^{2n+1}}{(2n+1)!} H_{2n+1}(0)
\end{equation}と分解できるので、これより  t^n \ (n\geq 0) の係数を比較して、次を得ることができます。
\begin{align}
H_{2n} (0) &= (-1)^n \frac{(2n)!}{n!} \notag\\
H_{2n+1} (0) &= 0 \notag
\end{align}
まとめると、母関数の定義に  x=0 を代入して  t について比較すると、 x=0 での特殊値が示されることが分かりました。